鍼灸修業雑記(中国広州編③)


広州中医薬大学病院の外来問診室の看板には「治未病問診」と表示されていました。
二千年以上前に著された医学書『黄帝内経』に「聖人不治巳病、治未病」とあり、その意味は「名医は病気になってからの患者を治すのではなく、未だ病気になっていない人を治す」ということです。それは東洋医学の診方でみるからこそできること。そんな聖人の足元に少しでも近づきたい!

せっかく中国にきたので、中国の先生に鍼灸治療を志す者へのおススメの本を紹介してもらおうとお願いしました。中国語で書かれた本でも辞書をひきつつ勉強するくらいの心づもりでした。
 
そうすると、なんと!
 
「藤本蓮風先生の本を読みなさい。」と言われびっくり!!
 
まさに私が所属している北辰会の創始者であり代表(2019年現在、会長)のことではないですか。鍼灸大仙堂ではスタッフ全員が北辰会会員であり、北辰会の考え方に基づいた治療をしています。
日本国内の先生に言われるのではなく、鍼灸本場の中国の先生に勧めていただくとは!

これはもっともっと学び、頑張らねばと思った中国の研修の旅でした。

                      [治療家 熊本 和]

鍼灸修業雑記(中国広州編②)

注文した飲物は全て生温かい状態で提供されます。

【中国広州編②】
 鍼灸大仙堂の治療家、熊本和です。
 いつもお読みいただきありがとうございます♪

広州に行った季節は3月でしたが、雨天が多く、湿度・気温高めの日が多かったです。私はほぼ半袖Tシャツで過ごしました。
研修で疲れた後の夕食では、冷たいビール!!といきたいところですが、現地ではビールを普通に注文すると常温のものが提供されるんですよ。びっくり!
冷たいものを欲しがる外国人のために特別に冷やしたビールも用意されているのですが、「冷たいビールをください」と頼まないと、生温かいものがでてきます。
現地の方によると広州は暑い地域なので、エアコンなどでかえって冷えたり、また冷たいものをとりすぎると、体の水の巡りが悪くなるということ知っていて、飲物は常温なんだそうです。また、食材は体の巡りを良くするものが豊富で、日常生活の中に自然と食養生の考え方が組み込まれていることに感動しました。調理方法は食材に合わせていろいろあり、さすが「食は広州にあり!」と言われるだけあるなあと思いました。
ホテルの一角にあるケンタッキーで毎朝モーニングを食べていたのですが、なんとお粥のモーニングでした。とろとろに炊いたお粥は朝の胃に活力を与えてくれましたよ。(^^)v[治療家 熊本和] (つづく)

鍼灸修業雑記(中国広州編①)

【中国広州編①】
 「鍼灸 大仙堂」の治療家 熊本 和(くまもと かず)です。
鍼灸による治療家をめざす者としては、鍼灸発祥の地、中国の鍼灸治療を一度は見ておきたいということで、広州中医薬大学の国際学院と附属病院で研修を受けてきました。
広州中医薬大学付属病院は一日一万人が受診するという大規模な病院でした。中医学と西洋医学両方の科があり、薬局も中薬房と西薬房がそれぞれ同じ規模で設置されていました。
中医学の外来では日本では見たことがない生きた蜂の針を使った「蜂針」を始め、針を真っ赤になるまで焼いて使う「火針」や「吸角」「金三針」「推拿」「耳針」等、いろんな手技を専門とする科があり、患者さんの希望と病状に合った方法が選ばれて治療されていました。患者さんは赤ちゃんから年寄りまで、病状も運動器疾患から脳卒中まで様々でした。入院している脳卒中の患者さんは同病院で西洋医学の科で手術を受け、その後中医学専門病棟で鍼灸治療を受けているという方もたくさんいらっしゃいました。
 帰国してから、学んだことを身につけるために学校のクラブ活動(中医研究会)の中で火針や吸角の練習を部員同士でやりました。ちなみに鍼灸大仙堂では火針、吸角はもちろん蜂針による治療は行っていませんのであしからずご了承くださいね。[治療家 熊本和](つづく)

鍼灸修業雑記(フロリダ州編③)

【アメリカ フロリダ州編③】
 「鍼灸 大仙堂」の治療家 熊本 和(くまもと かず)です。
 フロリダでは、毎日、授業を受けたりクリニックなどで臨床現場の見学をしたりと忙しく過ごしました。英語の通訳の方がついてくれていましたが、母国語でない言葉の中で過ごすのは結構ハードでした。
 ということで、フロリダ研修の最終日はオフでディズニーを堪能してきました。
日本のディズニーランドにも数えるほどしか行ったことがなく、いろんな動物のキャラクターの名前(リスとか犬とか。。。)も覚えられない私ですが、存分に楽しめましたよ。
朝の開園時間に合わせて、朝一で張り切ってでかけましたが、なんと朝の園内はガラガラ~。
日本人は朝一でできるだけ早く行って、段取り良く各アトラクションの入場予約をして…と忙しく過ごす方が多いと思います。アメリカの方々はあまり朝早くから出かけてということはなく自分のペースでゆったり過ごされているのが印象的でした。一つのアトラクションが終わって、「さあ次!」と急いで移動しているのはほぼ日本人だったかも。そういえば町の美術館なども午後から開場のところがほとんどでした。
こんな過ごし方の違いもお体の状態に表れているかもしれませんね。
ふだん忙しく働き生活していても、オフの時間はゆったり過ごす、これ大事ですね。
[治療家 熊本和] (次回は中国広州編です。お楽しみに!)

鍼灸修業雑記(フロリダ州編②)

【アメリカ フロリダ州編②】
「鍼灸 大仙堂」の治療家 熊本 和(くまもと かず)です。
お待たせしました!アメリカでの修業雑記つづきです。

アメリカの鍼灸師資格は州単位で認定されるそうです。私が行ったフロリダ州では、鍼灸師は鍼灸治療に加え、漢方薬処方、注射まで可能で、その範囲の広さに驚きました。もちろんその分たくさん勉強するわけですが。
研修先のフロリダ代替医療大学での講義では、神経の流れをふまえた「テンション・ポイント・セラピー」、麻薬中毒改善プログラムに取り組んでいる団体NADAの「耳鍼」、解熱効果のあるハーブをつかった漢方薬のことなど、また様々な患者さんが治療を受けられている様子を見学させていただきました。
「耳鍼」は米軍内でも兵士の疲れた心を回復させるのにも使っているというお話があり印象に残りました。
 「耳鍼」に限らず、鍼灸は大きな設備や電源がなくても、治療家の「手」と少しの「鍼」や「艾(もぐさ)」があれば治療できます。最近では災害時に被災された方々への心身のフォローに鍼灸師がボランティアをしたり、発展途上国でのエイズ発症防止をめざして免疫力をつけるためにお灸の普及活動が行われています。
エコかつ底力のある鍼灸治療の素晴らしさがもっともっと広まればいいなあと思います。[治療家 熊本和] (つづく)

※写真一枚目:フィッシュ&チップス(一人前)、写真二枚目:耳鍼