与太郎の与太話。

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以下の文章は、ご縁があり往診に行かせて頂いている「社会福祉法人ピースクラブ」の患者さん、与太郎さんが脳性麻痺の二次障害を患った経験から書いてくださったものです。素晴らしい文章ですので一気にご紹介したいと思います。皆さんもお時間があるときに一気に読んでみてください。では。
やまかつ

与太は一昨年の秋口、えげつない首の痛みと首を起点とする強張りに襲われた。そのえげつない首の痛みは恐怖以外の何物でもなく。強ばりは首を起点に全身固まり震えるという強者だった。これが二次障害なのか?。与太は話しには聞いていたが…ついに来たかと思った。与太も40代後半、二次障害のことは考えていなかった訳ではなかった。しかし、なんで今日、今から、あり得ないことではない。そんなことはわかっている。夢ではないこの現実と向き合わなければならない与太はそこにいた。

冷静な嫁さんがネットで調べていた。二次障害について、脳性麻痺の専門医について、そして薬、テネルリンという筋肉弛緩剤があるらしい。テネルリンは劇的に効いたのを覚えている。しかし薬は飲み続けていると効かなくなり薬の量が増えて行った。薬を飲みすぎて活動停止になることもしばしばあった。薬を飲んでも飲まなくても二次障害者は社会生活を送れないのか、そう思った。ライフスタイルの絵画とバンド活動はできそうもない。もう二度と描けない。もう二度と昇れない。そう思った。ピースクラブも辞めなければいけない。そう思った。精神的に追い込まれた与太がいた。嫁さん以外は会える状態ではなかった。冬の寒い日々と春の気温の乱高下には苦しんだ。家の片隅で固まって動けない日々が続いた。

恐怖の冬と春が終わり気温が安定してきた頃、やっとピースクラブに行けるようになった。しかし約束でができる状態ではなかった。常に片手を首に当て行動していた。ピースクラブに行っては固まり薬でラリッて活動停止状態。復帰と言うのにはほど遠いものだった。それでもピークスラブは、メンバーさんは受け入れてくれた。感謝の言葉しかなかった。

おそらくこれが最後の嫁さんと二人旅になると思った沖縄旅行。嫁さんは強行しました。嫁さんはどうしても与太を連れて行きたいところがあるらしい。そこは対岸に久高島が見えるせぃーふぁー御嶽と言う沖縄の神聖な祈りの場所。そこで嫁さんと与太は不思議な体験をする。御嶽の入り口で名前と何処から来たのかを心のなかでつぶやき、そして願いごとをつぶやいてお参りするということを嫁さんが教えてくれた。与太は嫁さんのために首の痛みを何とかしてください。とお願いした。嫁さんは少し後悔していた。またこんな足場の悪くて急な坂のところに連れて来て絶対固まると思ったらしい。しかし与太は、足場の悪い石畳でも、急な坂でも、階段でも固まらなかった。首から片手が外れていたのに気付いた。

御嶽の奥にいくとそこには黄色い蝶々が二羽、与太と嫁さんを待っていた。ヒラヒラと寄り添うように飛んでくれた。まるで何もかもわかっているよ。もう大丈夫だよ。と言われたようだった。二人は暖かい黄色い気に包まれた。それが神様なのか?ご先祖様なのか?わからない。与太と嫁さんにしか見えていないかもしれない。観光目的で来た人たちには感じられるものではないのかもしれない。与太は基本的に霊的なものは信じない。だけど…これは…確実に…そこに…おられました。パワーをいただきました。優しさをいただきました。ありがとうございました。

沖縄での不思議な体験から1ヶ月たったか?たたないか?の頃、大西さんが鍼灸の先生をピースクラブに連れて来られた。春さんを診てもらうために来られたと思ったが、与太も診てもらい。とのこと、受けてみることにした。二次障害が鍼で良くなるとは信じがたかった。触診の後、鍼を打ちその後20分放置、鍼を抜いた後20分休憩でなんと、片手首男が治っていた。あり得ない。何で~。この出会いは沖縄の御嶽の蝶々さんが運んで来てくれたものだと与太は勝手に思った。先生に自分でできることを聞いてみた。ぷらぷら歩いてくださいとのこと。通勤を歩きにすれば良いと思った。今もできる限り続けている。それから週1回、今も鍼の治療を受けている。薬は基本的に飲まないで行けるようになった。

与太にとって二次障害はこれからも避けて通れない問題だと認識している。体の老化現象。これは与太だけの問題ではない。誰もが平等に老いて行く。そのなかで与太は無理をしない。適度な運動をする。飲み過ぎ、食べ過ぎをしない。基本的な生活改善だけど、これが大切だと痛感している。これから与太は何年生きるかわからに。できる限り今を続けて行きたいと思う。それは未来に備えること他ならない。老いて行く身体をどう労り、どう向かい合うか、今の生活習慣が問われていると思う。最後に先生が与太によく言われる言葉を紹介したい。

身体の声を聴きなさい。

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